今までの記事で、ビタミンとは何か、水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンについて説明してきました。
次にいよいよ、それぞれのビタミンを細かく見ていこうと思います。
ビタミンB1とは
ビタミンB1とは、水溶性ビタミンの一種であり、化学名でチアミンというものです。
昔日本で問題になった、江戸わずらい=脚気は、このビタミンB1不足によるものです。
性質としては、水溶性であるため水に溶け、 また酸性で安定ですがアルカリ性では不安定です。 熱にも弱いのが特徴です。
ビタミンB1の働き
ビタミンB1が体内のどこで使われているかというと、糖質をエネルギーにする際に使っています。
糖質は体内の様々な場所でエネルギー源として利用されています。 そして、ビタミンB1はエネルギーになる手助け(補酵素)の役割を持っています。
特に脳内では、エネルギーのほとんどを糖質でまかなっています。 そのため、ビタミンB1が不足すると脳内でのエネルギー産生が滞り、 脳の働きが悪くなる可能性が考えられます。
糖質をエネルギーにするということで、糖質の少ない食事(低炭水化物ダイエットのような)で必要量が下がり、 糖質の多い食事で必要量が上がります。
またアルコール分解の際にも消費されるため、アルコールをよく飲む方でも必要量が上がります。
ビタミンB1を多く含む食品
ビタミンB1は、肉類、魚介類、胚芽、酵母、大豆等に含まれます。 中でもダントツで多いのは、豚肉です。
100g中では、
豚肉・・・0.90mg
さけ・・・0.25mg
牛乳・・・0.03mg
ほうれん草・・・0.05mg
納豆・・・0.07mg
ビタミンB1の一日に必要な量
ビタミンB1の必要量は、0.54mg/1000kcalで、成人男性でいうとおよそ1.4mg程度です。(日本人の食事摂取基準より)
豚肉だけから必要量を摂取しようと思うと、およそ200gで必要量を摂取できます。 豚肉を食べない日でも、豆や野菜、魚介類などを三食バランス良く摂取していればぎりぎり必要量を満たせるかと思います。
ビタミンB1の欠乏症や過剰症
ビタミンB1が不足すると、糖質を主なエネルギー源としている神経や脳に影響が現れます。 有名なものとしては脚気で、全身の倦怠感、四肢の知覚障害などが現れます。
普通の食事をしていれば、症状が現れる程不足することはありません。 ダイエット等で偏った食事をしている時や、アルコールを多量摂取している時に不足する可能性があります。
現代の食事で脚気となる事はほとんどないと思いますが、、ちょっと足りないぐらいの際に、 疲労感や、ぼーっとする感じの症状が現れる可能性がありますので、バランスの良い食事を心がけましょう。
ビタミンB1は水溶性ビタミンであるため、過剰症はほとんど心配いりません。
ただし、日本人の食事摂取基準によると、 50mg/kg体重/日以上(3000mg/日以上)のチアミンの慢性的な服用は成人において、さまざまな毒性を示唆する臨床症状を示すことが報告されている。
例えば、10gのチアミン塩酸塩を2週間半のあいだ、毎日飲み続けたら、 頭痛、いらだち、不眠、速脈、脆弱化、接触皮膚炎、かゆみが発生したが、摂取を中止したら、2日間で症状は消えたことが報告されている。 しかしながら、耐用上限量を算定できるデータは十分でなかったので、策定しなかった。 とあります。
サプリメントに入っている量でも、3mgかそこいらだと思うので、 この報告のようなことになることはそうそう無いと思います。
しかし、常識はずれの量を飲めば副作用が出る可能性は示唆されていますし、 どうせ尿中に出て無駄になってしまうので適切な量を飲むようにしましょう。
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