今回は、ビタミンシリーズのパントテン酸についてです。
パントテン酸とは
パントテン酸は、水溶性ビタミンの一種で、どこにでもある酸という意味で命名されました。
その名前の通り、様々な食品に含まれているので、通常の食事をしている人では不足することはほとんどありません。 パントテン酸は、食事から摂取する他、腸内細菌によってもわずかに合成されます。
性質は中性で安定ですが、酸性、アルカリ性、熱に不安定です。
パントテン酸の働き
パントテン酸は、補酵素A(CoA)の構成成分として、糖代謝や脂肪酸代謝に関わります。< /p>
生体内で非常に重要な働きをしていますが、上記したようにどこにでもあるため、 欠乏する事が少なくあまり話題になりません。
パントテン酸を多く含む食品
パントテン酸は、様々な食品に含まれますが、特にレバー、納豆、鶏肉に多く含まれます。
100g中では、
納豆・・・3.6mg
牛レバー・・・6.4mg
牛乳・・・0.55mg
にんじん・・・0.45mg
とうもろこし・・・0.51mg
パントテン酸の一日に必要な量
パントテン酸は欠乏症を実験的に再現できないため、推定平均必要量を設定できません。
そこで、食事調査の値から、目安量が算定されています(日本人の食事摂取基準より) 目安量は、成人男性・女性で5mgです。
平成24年度国民健康栄養調査の結果によると、 日本国民のパントテン酸摂取量は、中央値で5.19mgとなっています。
これぐらいの値で欠乏症が出ていないため、この食事摂取基準の値がパントテン酸の目安量となっています。
パントテン酸の欠乏症や過剰症
パントテン酸が不足すると、細胞内のCoA濃度が低下するため、 成長停止や副腎障害、頭痛、疲労、不眠などが起こります。
しかし実際には、通常の食事を送っていれば欠乏症はほとんど起きません。 過剰症についてはほとんど報告されていません。
日本人の食事摂取基準にて、
注意欠陥障害児に、パントテン酸カルシウムと同時に、ニコチンアミド、アスコルビン酸、ピリドキシンを大量に3ヶ月間にわたり与えた実験では、一部の者が、吐き気、食欲不振、腹部の痛みを訴えて、実験を途中でやめた
という報告が記載されています。
しかし、耐用上限量を算定するにはデータが十分ではないので、耐用上限量は策定されませんでした。
過剰症の報告が殆ど無いとはいえ、過剰に摂取するのはやめたほうが良いでしょう。
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