こんにちは!今日の更新は、食中毒の予防ポイントについて。
6月に入り気温の高い日も増え、食中毒が起きやすい季節になりました。
ということで食中毒にならないためのポイントをまとめてみます。
食中毒ってどんな所で起きているの?
厚生労働省の出している食中毒統計によると、下記のようになっています。
※H27年度 施設別食中毒統計
食中毒の多くは、飲食店で発生しております。
調理から提供までの時間が長くなりやすいためでしょう。
病院や学校等の給食施設に比べ発生率が高いのは、やはり衛生管理の意識が違うからでしょうか。
細菌の繁殖は目で見てもわからない事が多く、外食時の食中毒予防は難しいかもしれません。
しかし、家庭での食中毒は予防をしっかり行う事で防ぐ事ができます。
健康な成人では大事に至らない事も多いですが、
高齢者や子供がいる場合は重篤な症状を引き起こす事もあるため、特に注意が必要です。
食中毒予防の3つの原則
食中毒は、細菌やウイルスが食べ物に付着し、体内に入ることによって発生します。
細菌の場合は、
・細菌を食べ物に「つけない」
・食べ物に付着した細菌を「増やさない」
・付着してしまった細菌を「やっつける」
以上の3つが原則です。
対して、ウイルスの場合は食品中では増えないので、「増やさない」は当てはまりません。
「つけない」と「やっつける」が重要になります。
ウイルスの場合、特にノロウイルスは、少数の菌でも発症に至るため、徹底した加熱が必要になります。
細菌を食べ物に「つけない」
細菌は様々な場所に存在していますが、食べ物に付着するルートは限られています。
手には様々な雑菌が付着しているため、調理を始める前や、肉や魚を触った後には手洗いを実施しましょう。
手の汚れはシワの間等に入り込みやすく、また手荒れ等で手がガサガサしていると、
その細かい隙間等に入り込み洗い落としにくくなります。
食べ物に付着した細菌を「増やさない」
人間の胃は胃液によりある程度の殺菌能力があります。
そのため、細菌がついていたとしても少数なら胃の殺菌効果で発症しない可能性があります。
多くの細菌は、高温・多湿環境で増殖が活発になります。
人間が快適に過ごせる温度は、細菌も快適だと考えると良いでしょう。
低温では増殖が抑制され、10℃以下では増殖がゆっくりになり、-15℃以下では増殖が停止します。
食品を保存する際には、なるべく低温で保存するのが大事です。
付着してしまった細菌を「やっつける」
多くの細菌は熱に弱いため、細菌が増えてしまったとしても、加熱により菌を減らすことができます。
食べる直前にしっかり火を通すことで、安全に食べる事ができます。
ウイルス性食中毒の代表であるノロウイルスは、細菌に比べて熱に強く、85℃90秒以上の加熱で死滅するとされています。
温度計を刺しながら調理してみるとわかりますが、85℃というのは結構な高温で、焼き過ぎじゃない?ぐらいの加熱具合です。
例外として、芽胞形成菌(殻みたいなモノに閉じこもっている菌)は耐熱性が高く、加熱により死滅しません。
カレーやシチューで起きやすいと言われている食中毒菌で、
加熱後放置される事により細菌が増え、食中毒に至る、という例があります。
できる限り、加熱後は速やかに食べ、カレー等で置いておく場合は速やかに温度を下げる必要があります。
家庭で食中毒が起きる場面
では実際に、家庭ではどのような場面で食中毒は発生しているのでしょうか。
これも報告があるものは、厚生労働省にて食中毒発生事例が毎年発表されています。
以下に実際に発生した例を挙げてみます。
家庭で調理した弁当
お弁当は調理から喫食までの時間が長いのが特徴です。
加熱により細菌が死んでも、盛り付け時に手洗い不十分だったりして細菌がつくと、そこで増殖してしまいます。
お弁当は外に持ち出される事も多く、細菌の繁殖しやすい温度になるのも一因でしょう。
盛りつけ時の衛生に気をつけたり、保冷剤で低温を保つ、
食べる前に電子レンジでしっかり加熱する、等をすると良いと思います。
おにぎり
お弁当と同じように、調理から喫食まで時間の長い料理です。
おにぎりは家庭によっては、素手で握る場合もあるのでは。
ラップの上から包んだり、使い捨て手袋等を使うと良いかもしれません。
お弁当と同じように、保冷剤による低温管理も有効です。
きのこ等の自然毒
統計を見ていて意外と多いのが、自然毒によるもの。
特にきのこの毒による食中毒が多いようです。
きのこの種類については詳しくないので詳細を書きませんが、
きのこ狩りに行かれる方はご注意を。
寄生虫
他に挙がっていたのは、刺し身などの生魚由来の寄生虫。
火を通さず食べるものなので、これも度々発生しているようです。
H27年度の統計を見てみると、寄生虫で発生しているのは全てアニサキスによるものでした。
※「厚生労働省 アニサキスによる食中毒を予防しましょう」より
見た目はこんな感じで、長いものだと3cmぐらいあったり。
結構な大きさなので目視可能な寄生虫です。
生魚を捌いている方は、内蔵などに付着しているのを見た事があるのでは。
アニサキスはマイナス20℃、24時間以上で死滅しますので、しっかり冷凍処理された魚は問題無いでしょう。
冷凍処理が甘かったり、そもそも冷凍していない新鮮な魚だと、アニサキスがいる可能性があります。
統計で挙がっていた魚は、サバ、サンマ、イカ、サーモン等です。
酢締めでも死にませんので、家庭でできる対策としては
・包丁で切る(イカそうめん、細かくするほうのタタキにする)
・見つけたら全て取り除く
・見つけたら加熱調理に回す
ぐらいでしょうか・・・。
よく噛めば殺せるかもしれませんが、食感はゴムのような感じで意外と強靭らしく、逃れることもあるかもしれません。
夏場は細菌性食中毒が発生しやすい時期です。
統計上は、家庭での食中毒発生は毎年10%程度なのですが、
軽い腹痛程度では届け出ない方もいるでしょうし、もっと発生しているかもしれません。
家庭での食中毒は防げる事故なので、しっかりと予防を行いましょう。