こんにちは!今日の更新は腸管出血性大腸菌「O157」についてです。2017年8月、腸管出血性大腸菌「O157」の集団食中毒が発生しました。今回の食中毒では感染人数も多く、死者も出てしまったためニュースになっています。
今回の記事では、この腸管出血性大腸菌について書いていこうと思います。
腸管出血性大腸菌「O157」とは?
腸管出血性大腸菌とは、その名の通り大腸に住む細菌のことです。人や牛などの家畜の糞便中に見つかる他、有機肥料中に残った細菌由来で、野菜に付着することもあります。
大腸に住む細菌は非常に多くの種類がいて、害のない細菌もいます。逆に、強力な毒素を生成するような菌もいます。そういった菌は、見つかった番号から「O157」や「O111」などと分類されています。今回は「O157」による食中毒でしたが、2011年に起きたユッケによる食中毒は、「O111」によるものでした。
食中毒発生時の症状が重篤で、また感染に必要な菌量も100個程度と少なく、感染しやすい食中毒菌です。
腸管出血性と呼ばれているのは、文字通り出血性の腸炎を起こすためです。毒性の強い「ベロ毒素」というものを出すため、出血性の腸炎が起こります。
ベロ毒素とは?
ベロ毒素は、たんぱく質合成を阻害する働きを持ち細胞を死に至らしめます。腸管表面に作用し出血性の腸炎を引き起こす他、吸収され全身に回ると脳や腎臓に作用し重篤な症状を引き起こします。
症状が軽い場合、下痢や腹痛程度で収まることもあります。こういった場合にただの下痢だと思って、下痢止め等を服用すると、菌や毒素の排泄を抑制し症状が悪化する事があります。
腸管出血性大腸菌がベロ毒素を産生しますが、食品中で産生している場合と、腸内で菌が増え、腸内で毒素を産生している場合があります。
幼児や高齢者は腸内で増えやすい
幼児や高齢者は重篤になりやすい事が統計にて確認されています。
腸内は数千種類の細菌が住み着いていて、それぞれ縄張り争いをしています。腸管出血性大腸菌も例外ではなく、食品から腸内に入ると、この縄張り争いに巻き込まれることになります。こういった腸内の生態系を、腸内細菌叢(腸内フローラ)と呼びますが、幼児や高齢者は腸内細菌叢(腸内フローラ)が未熟だったり、抗生物質の服用で荒れていたりします。
そういった腸内環境では、腸管出血大腸菌が繁殖しやすくなり、生成される毒素の総量も増えるので重篤になるリスクが高くなります。
家庭での予防について
腸管出血性大腸菌による食中毒は、他の多くの食中毒と同じ方法で予防できます。
食品は加熱して食べる
腸管出血性大腸菌は、75℃1分以上の加熱で死滅します。食品上で生成された毒素は耐熱性があり残ってしまいますが、腸内で細菌が増え続ける場合に比べ毒素の量が少なくすみます。
特に汚染のリスクが高い肉類は必ず火を通して食べるようにしましょう。
適切な温度管理をする
腸管出血性大腸菌は他の食中毒菌と同じように、低温や高温では増殖しにくくなります。特に夏場は温度が上がりやすいので、食材の室温放置には注意が必要です。
特に喫食までに時間のかかるお弁当では、保冷剤を入れる等の対応をしておいたほうが良いでしょう。
菌は一般的な消毒薬で死滅する
腸管出血性大腸菌は、ハイター等の塩素系漂白剤や、アルコール、石鹸による消毒で死滅します。調理従事前や喫食前の手洗い、器具のアルコールや塩素消毒によって殺菌することができます。
外食時の予防について
今回の食中毒は、惣菜店の惣菜から発生しました。提供側は食中毒防止のため様々な努力が求められますが、喫食者側としてできる事はあるでしょうか。
購入後はなるべく早く食べ、温度管理をする
外で買って家で食べるような場合、購入後速やかに食べることと、持ち帰った後すぐに冷蔵庫に入れる事を意識すると良いです。
また、煮物のように加熱して食べられる惣菜は、そのまま食べず再加熱をすることでリスクを減らせます。とくに幼児や高齢者に食べさせる場合は、面倒臭がらずに再加熱するようにしてください。
焼肉店では箸やトングを分ける
生肉を取り扱う焼肉店では、肉を焼く用のトングと、食べる用の箸を分けるようにしましょう。
食べる用の箸で肉を焼いて、そのままサラダに箸を伸ばす・・・といった行為は、二次汚染の恐れがあります。
喫食者側に非が無い場合は・・・?
今回の食中毒の例では、他のも感染者が出ている事から、購入後の取り扱いが問題になったわけではなさそうです。
店舗での衛生管理が不十分で、惣菜自体に腸管出血性大腸菌が増殖してしまったと考えられます。ポテトサラダやコールスローを食べた人からも発生しており、加熱して食べる事もできない状態でした。
こういった例では正直なところ、喫食者側にとれる対策はないと思います。この店衛生管理大丈夫か?と心配になるようでしたら、食べないようにするしかありません。
大丈夫そうなお店でも発生するリスクはあるので、疑い始めれば外食はできなくなりますが・・・。
感染自体は予防できていませんが、急な下痢や強い腹痛が続く時は速やかな受診をオススメします。特に血便など血が混じっている場合は、必ず診てもらうようにしましょう。
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