こんにちは!今日の更新は、野菜を冷凍すると栄養素はどうなるのか、というテーマです。
健康のために野菜を取り入れようと思っても、生野菜を普通に買うと使い切れないことが多々あります。とはいえカット済み野菜を買うとコスパが悪い。
そこで保存方法として冷凍はどうなのかという話になりますね。しかし冷凍すると栄養素が落ちないのか?という点が気になると思います。
どの栄養素に注目するか
冷凍時の栄養素について考える前に、どの栄養素に注目するべきか考えてみます。
食品の栄養素は、炭水化物、たんぱく質、脂質、微量栄養素に分かれます。
このうち、炭水化物やたんぱく質、脂質は冷凍や加熱をしてもほとんど損失がないため、栄養素の補給面を考えると冷凍だろうがなんだろうかあまり変わらないと考えられます。
一方で、微量栄養素は壊れたり水分に流れ出たりして損失することが多い栄養素です。
今回の記事は、微量栄養素の中でも損失しやすいビタミンCと冷凍について考えてみようと思います。
ビタミンCはどういう時に減っていく?
冷凍の話に入る前に、ビタミンCがどうなると損失していくのかを考えていきましょう。
ビタミンCは水溶性ビタミンであり水に溶け、酵素で分解され、また加熱により損失が促進されます。
注目の冷凍についてですが、冷凍という工程自体ではほとんどビタミンC量は変化しないことが研究により示唆されています。
しかし実際に食べる時には減っている
冷凍ではビタミンC量はほとんど変化は無いのですが、実際に生野菜と冷凍の生野菜のビタミンC量を比較すると、生野菜のほうが多く含まれます。
冷凍で壊れるわけではないのになぜか。以下のような理由があります。
1,時間経過でビタミンCが減少する。
2,ブランチング工程でビタミンCが減少する。
3,食品を解凍した後の再加熱工程でビタミンCが減少する。
まず1に、時間経過でビタミンCが減少するという点があります。冷蔵と冷凍、同じ期間を比べると、冷凍のほうがビタミンCは長持ちします。しかし、冷蔵は長くても1週間程度で食べるのに対し、冷凍は数ヶ月は保存できます。
それだけ長い期間が経つと、失活しなかった酵素(酵素は冷凍でも失活しません)の働き等によりビタミンCが減少します。
つぎに、ブランチングという工程でビタミンCが減少します。ブランチングというのは、冷凍前に短時間加熱することで、酵素の働きを弱めることです。
酵素が働いていると、栄養素が分解されたり、色味が変わってしまったりします。この加熱工程により短時間ではありますがビタミンCがいくらか減少します。
つぎに、加熱して食べる野菜は、解凍後の再加熱でまたビタミンCが減少します。通常の生野菜を加熱しても減少しますが、冷凍食品の場合ブランチングや長い保存期間でビタミンCが減少したところに、さらに再加熱によりビタミンCを損失します。
以上のような理由で、結果的に生野菜を調理した場合と、冷凍野菜を調理した場合を比較すると、ビタミンCが減少します。
残存率については、論文によると50~90%程度のようです。保存期間、保存環境、ブランチングの工程、野菜の種類により大きくかわるため、幅があります。
この残ったビタミンCから、再加熱による減少が起こるわけです。
結局冷凍野菜の栄養はどうなのか
一部の栄養素はやはり生より冷凍のほうが栄養素が減少してしまうようです。今回はビタミンCに焦点を絞って調べましたが、他の微量栄養素も似たような変化だと思われます。
しかし、あくまで採れたての生との比較であり、保存期間の長さのわりには減少していないように感じます。
減少するとはいえゼロになるわけではないので、冷凍食品を活用するのは悪いことではないと思います。
参考文献
冷凍食品中のアスコルビン酸について 桐渕 壽子 日本家政学会誌 Vol.39 No.4 335-338 (1988)
市販の生鮮野菜および調理加工済み野菜におけるビタミンC含量の実態調査 山口 智子 日本家政学会誌 Vol.49 No.11 1241-1247(1998)
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