こんにちは!今日の更新は、ビタミン剤やミネラル剤を飲むことは健康に良いのか?というテーマです。
薬局等で手軽にビタミン剤やミネラル剤を購入できますが、これは飲んだほうが健康に良いのでしょうか。
ビタミンやミネラルの欠乏症について
人間に必要な栄養素は、大きく多量栄養素と微量栄養素に分けることができます。
多量栄養素には炭水化物、たんぱく質、脂質があり、活動に必要な熱量を生み出したり、体を構成するのに必要です。
微量栄養素はビタミンやミネラル類で、必要な量は少量ですが、無いと体が機能しなくなるような重要な栄養素です。
微量栄養素が不足した時の体の状態は様々です。例えばビタミンCでは壊血病という病気になったり、鉄分だったら貧血になったりと、全く供給されないと命に関わる可能性もあります。
それぞれの微量栄養素が不足した時にどうなるかは、ビタミンについての記事やミネラルについての記事を書いているので気になる方はそちらを御覧ください。
日本人はどれぐらい微量栄養素を摂っているのか?
本題に入る前に、日本人はどれぐらい微量栄養素を摂れているのか確認してみます。
日本人の摂取栄養量は、厚生労働省の国民健康栄養調査の結果から確認することができます。また、必要量については、日本人の食事摂取基準にて定められています。
その中から、成人の男女について抜き出してみました。
見ての通り、意外と微量栄養素については不足しており、むしろ十分足りている栄養素のほうが少ないです。
特に不足が目立つのは、ビタミンDやカルシウム。どちらも骨に関わる栄養素です。
他にもエネルギー代謝に関わるビタミンB1やビタミンB2、皮膚の健康維持等に関わるビタミンAやビタミンC等も不足しています。
微量栄養素は不足している?
日本人の食事摂取基準からすると、ビタミンもミネラルも全体的に不足しています。しかし、日本で脚気や、壊血病などの重篤な欠乏症になったという例はあまり聞きません。
日本人の食事摂取基準で策定されている必要量は、重篤な欠乏症を予防するための数値ではありません。
例えば、ビタミンB1の数値についてはこのように書かれています。
推定平均必要量は、ビタミンb1の欠乏症である脚気を予防するに足る最小必要量からではなく、尿中にビタミンB1の排泄量が増大し始める摂取量(体内飽和量)から算定。
ビタミンB2ではこのように書かれています。
推定平均必要量は、ビタミンB2の欠乏症である口唇炎、口角炎、舌炎などの皮膚炎を予防するに足る最小摂取量から求めた値ではなく、尿中にビタミンB2の排泄量が増大し始める摂取量(体内飽和量)から算定。
ビタミンCではこのように書かれています。
推定平均必要量は、壊血病の回避ではなく、心臓血管系疾病予防効果並びに抗酸化作用効果から算定。
他の微量栄養素についても、どういう指標で必要量が策定されたか書かれていますが、重篤な欠乏症回避のための数値というわけではありません。
なので、大多数の日本人がビタミンB1やビタミンB2、ビタミンC等が不足しているからといって、脚気や壊血病などが発生するというわけではないのです。
潜在性ビタミン欠乏症
厚生労働省のe-ヘルスネットのビタミン欠乏症の欄に、「潜在性ビタミン欠乏症」という単語の記載があります。
欠乏による明らかな病気とまでは行かなくとも、ビタミンの不足によって日常的に身体の不調を来している状態を、潜在性ビタミン欠乏症と呼んでいます。
「最近口内炎がよくできる」「何となく体がだるい」等原因が断定しにくい体の不調はもしかするとビタミン不足に由来するのかもしれません。
飲んだほうが健康に良いのか?
本題ですが、結局ビタミン剤やミネラル剤は飲んだほうが良いのでしょうか。
普通に食事をしている日本人の大多数が微量栄養素不足であることを考えると、飲んだほうが健康に良いと言えるかもしれません。
重篤な病気になるほど不足している人はほとんどいませんが、潜在的に不足している人は多いようです。この潜在的な不足により、何らかの体の不調が発生しているかもしれません。
特に、女性は高齢になった際に骨粗鬆症が問題になりやすいため、カルシウムやビタミンDをサプリメントでフォローするのは良いと思います。
食事で摂れればもちろんそのほうが良いですが、実際には摂れていない方が多数ですからね。
また、ダイエットで偏った食事をしている方は、微量栄養素にも偏りが出やすいため、ダイエット期間中をサプリメントでフォローするというのは良いと思います。
デメリットもある
一方で、ビタミン剤やミネラル剤を飲むデメリットというのもあります。
まず一番起きやすい問題は過剰症です。食事では絶対に摂れないような高い濃度の微量栄養素を摂取できてしまうため、多すぎる事による障害が発生することがあります。
一日の許容量を守り、複数のサプリメントから重複して栄養を摂らないようにするべきでしょう。
また、ビタミンKなど薬剤との相互作用がある栄養素もあります。
もうひとつ、「サプリメントで補っているから野菜は食べなくても良いだろう」という意識が芽生えてしまうかもしれませんが、それは大きな間違いです。
サプリメントでは、生活習慣病予防に重要な食物繊維がなかなか摂れません。食事中の野菜は、食事全体のかさを増し、食べ過ぎを防ぐ効果があるため、健康に食生活を送りたいならサプリメントを飲んでいても、野菜は食べるべきです。
最近の日本人の健康問題である、メタボリックシンドロームは、サプリメントで微量栄養素を摂っても予防できません。バランスのとれた食事で予防することができます。
まとめ
日本人は多くの微量栄養素が不足しているようです。しかし、欠乏症になるほどの不足具合ではなく、もしかしたら何らかの不調をきたしているかもしれない、程度のものです。
サプリメント等で微量栄養素を補給することで、そういった潜在的な欠乏症の症状を良くできるかもしれません。
一方で、過剰症や相互作用など、サプリメント特有の問題もあり、摂取には注意が必要です。
また、サプリメントは最近の日本人の健康問題になっている、メタボリックシンドロームにはほとんど効果を発揮しません。サプリメントを飲んだからといって、健康になった気でいるのは危険かもしれません。
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