こんにちは!今日の更新は、日本人の食事摂取基準という文書についてです。
当ブログでも度々紹介していますが、厚生労働省が出している文書で、"日本人の食事摂取基準"という文書があります。
"日本人の食事摂取基準"は、日本人の栄養素の摂取量について、科学的に検討した文書になります。
非常に素晴らしい文書なのですが、無料で読めるにも関わらず日本ではほとんどの方がご存知無いように思います。
管理栄養士なら当然のように読んでおくべきですが、深く読んでいない方もいます。
ということで、"日本人の食事摂取基準"という文書の何が素晴らしいのか書いていきます。栄養学に興味があったら、ぜひ読んでみてほしいと思います。
日本人の食事摂取基準の執筆者
日本人の食事摂取基準の策定には、様々な分野の先生が加わって執筆されています。
座長は東京大学大学院教授の佐々木敏先生で、栄養疫学の第一人者の先生です。
当ブログでも、佐々木敏先生が一般向けに書かれている書籍をいくつか紹介しています。
「朝食をとらないと太る」はなぜ?夏バテに豚肉は有効か?など、日常で話題になるような話を、疫学研究を調べながら記述されている本です。
こちらの本も非常に素晴らしい本で、オススメできます。
同じように、日本人の食事摂取基準も非常に良い本で、しかも無料で読めるのですが、いまいち読まれていないように思います。
まあ、専門的な内容で、かつ500ページ程のボリュームがあるので、気軽には読めないかもしれません。
でも、自分の興味がある栄養素だけでも勉強になるはず。
以下、どんなところが良いのか、書いていきますので、興味をもったらぜひ読んでみて下さい。
各種栄養素の基礎的な事が書かれている
栄養素は炭水化物、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、それぞれ非常に細かい分類があります。
例えば炭水化物で言えば、たんに糖質というわけではなく、糖類、オリゴ糖、多糖類、食物繊維などが含まれています。
脂質も、脂質の内訳となる脂肪酸は、n-6系やn-3系といった細かい分類に分けられ、さらにEPA、DHA、α-リノレン酸など、非常に細かく分かれています。
どの栄養素も、細かい分類がありますが、全ての栄養素について細部まで、しかも正確な情報で書かれているのは、この日本人の食事摂取基準だけです。
今はネットで手に入らない情報はないと言われますが、日本人の食事摂取基準の内容の精度で、栄養素について解説しているページは無いと断言できます。
また、栄養素を摂取した後どうなるか(消化、吸収、代謝)についても書かれています。
栄養素の消化、吸収、代謝は体の中で起こっている事で、ミクロの世界での出来事なので、わかりづらく、間違いが発生しやすい点です。
ネット上の情報では、栄養素の消化吸収代謝についてさらっと嘘が書かれている事が多く、信頼できる文書で確認できるのはありがたいですね。
疫学研究に基づいて書かれている
栄養素の摂取量を策定するにあたり、栄養疫学研究に基づいて策定されています。
栄養学において、栄養素の効果を評価するのは非常に難しい話です。
例えば、ビタミンB1は糖質をエネルギーとして使うのに必要な栄養素なので、ダイエットに関わりがあると言われる事があります。
上記は理論から成り立っているだけの仮説の状態で、実際にダイエットに関わりがあるのかどうかを調べるとなると、ビタミンB1の摂取と、実際に体重に影響を及ぼすかどうか、という疫学研究が必要になります。
そういった疫学研究に基づいて執筆されており、もちろん論文情報も記載されているため、信頼できる情報となっています。
数値を決めるに至った過程が書かれている
栄養素の効果を評価するのに疫学研究が必要ですが、疫学研究は解釈が難しいものも多数あります。
例えば対象となる人種が違う研究だったら?年代が偏っている研究だったら、全年齢に拡大して問題ないのか?などなど。
そういったものを考慮しながら疫学研究を見ていかないといけませんが、疫学の専門でもない限り困難です。
この文書では、疫学研究の専門家が、世界中の疫学研究と集めて検討し、数値を策定するに至った理由や、策定できなかった場合はそう決断した理由が書かれています。
例えばたんぱく質の上限量は策定されていませんが、上限量を策定しなかった理由と、そう判断した疫学研究があるわけです。
一覧表を見ただけでは"たんぱく質の上限量は策定されていない"としかわかりませんが、そう至った過程も非常に勉強になる情報です。
あまり読まれていないのでぜひ読んでほしい
やや難しい内容ではありますが、栄養素について最も詳しく、正確に書かれた文書です。
現在ネット上では、素性の知れないライターが書いた栄養記事が多数ありますが、正直内容としてはかなり間違っています。
日本人の食事摂取基準を読んでいればわかるはずなのに・・・、と思う事も多々あります。
もちろん、クライアントの記事方針等もあるとは思いますが、あまりにデタラメな内容ではクライアントも困るでしょう。
少なくとも、情報を発信する立場になる人には、読んでもらいたいと思います。
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