こんにちは!今日の更新は、マルチビタミンは飲んでも意味が無いのか?というテーマです。
2020年11月に、マルチビタミンが健康に寄与するかどうかという研究がオンラインで公開され、ネットで話題になっていました。
その結果は、高血圧、糖尿病、喘息、関節炎、癌など主要な病気に関して差はなかったとのこと。
サプリメントを愛用していた方には衝撃的な内容だったかもしれません。
この話について、管理栄養士目線で考えてみたいと思います。
研究の内容
ネットで話題になっていた研究はこちら。
研究デザインは横断研究と呼ばれるもので、ある時点での健康状態と、要因を同時に調査する方法です。
横断研究は、安価で容易に実施できますが、バイアスが入りやすく、因果関係もはっきりしない研究です。研究の質としては正直あまり良くなく、介入研究に劣ります。
内容は、10の慢性疾患(癌、高血圧、心臓病、脳卒中、慢性閉塞性肺疾患、喘息、糖尿病、関節炎、肝炎、腎臓病)の病歴や、自己申告の健康状態(消化器、皮膚、アレルギー、感染症等)に関して確認しています。
そして、過去12ヶ月の期間にマルチビタミンまたはマルチミネラルを摂取しましたか?という設問により、マルチビタミン・ミネラルの摂取ユーザーか、非摂取ユーザーかを振り分けています。
結果としては、自己申告で「健康状態が良好」と回答した割合は、マルチビタミン・ミネラルを摂取していた群のほうが30%多かったのですが、病歴や健康状態は実際には差がなかったとのこと。
この研究では、横断研究の限界として、自己申告による健康状態は、本質的に偏りがあると報告しています。
研究について考える
ネットで話題になっていたので確認しましたが、結構ふわっとした研究だと思います。
病気も自己申告なのでどこまで信用できるかわからないし、サプリメント摂取も、種類も量も問わず、ただ飲んでいるか飲んでいないかで振り分けられています。
正直なところ、この研究からはなんとも言えないなあという感じです。
マルチビタミンやミネラルが健康に寄与するかというのは結構難しい問題です。
ビタミン・ミネラルの種類、付加量、期間に加え、飲んでいる人の状態(ビタミンやミネラルが不足しているか否か)で効果が変わるからです。
妊婦に対する葉酸(神経閉鎖障害のリスク低減)、ビタミンDやK(骨形成)等は科学的根拠もあります。
しかし他のビタミン、B1やC等は、明確な欠乏症(脚気や壊血病)は存在しますが、普通に食事を摂っている人が、プラスでサプリメントとして摂取して意味があるかはよくわかっていません。
この研究では、多くの方にとって意味がなさそうだという結果ですが、横断研究なので断定もできない曖昧な感じです。
日本人のビタミン・ミネラルは不足しがち
ビタミンやミネラルの評価が難しいのは、摂取している人の状態によるからです。
例えばカルシウムのサプリメントは、普段からカルシウムを摂っている人にはあまり意味なさそうですが、食事からカルシウムを一切摂っていない人には、意味がありそうな気がしますね。
国民健康栄養調査によると、ビタミンAやビタミンD、B1、B2、Cなど、国民の摂取中央値が目標量を下回っているビタミンも多くあります。
ミネラルもカルシウムは下回っているし、女性では鉄も不足しています。高齢者の病歴に骨折はよく見かけますね。
少なくとも骨に関与するビタミンやミネラルは、サプリメントでも意味あるんじゃないかなと個人的には思います。
まとめ
まとめると、今回ネットで話題になっていた研究は横断研究というもので、容易に実施できる反面、あまり優れた研究ではありません。
内容としては、サプリメントはあまり健康には寄与しなさそうという結果となっていました。
もともとサプリメントは、食事から充分にビタミン・ミネラルを摂取できていれば不要と考えられていましたが、それを後押しするような研究です。
しかし、不足している人にとってはどうなのか?という詳細まで確認できる研究ではないので、偏った食生活をしている人にとって有効かどうかは、今回の研究ではよくわかりません。
病院で処方されることもあり、それらはもっと質の高い研究に裏付けして処方されているので、全てのビタミンやミネラルが意味がないということではありません。
ただ、なんとなくで飲んでいるビタミンやミネラルに意味があるかは、難しいところです。
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