こんにちは!今回の記事は、『日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2013』について記載しています。
私は老健勤めの管理栄養士なので、嚥下障害をお持ちの方を多数診ています。
普通の食事ではなく、食べやすいように配慮した食事もありますが、施設等によって形状にばらつきがあり、施設間での移動時等に問題になりがちです。
そこで、日本摂食・嚥下リハビリテーション学会より、共通で使える指標として嚥下調整食分類2013というものがあるので、それについて解説します。
嚥下調整食分類2013とは
嚥下調整食2013は、日本摂食・嚥下リハビリテーション学会が公表している嚥下調整食についての指標です。
ヘルシーフード 栄養指導naviより引用
日本でも疾患や、加齢によって嚥下機能が落ちた方がたくさんいます。
そういった方が安全に食事を食べるためには、普通の食事ではなく食べやすいように配慮した食事が必要になることがあります。
そのため、ペーストやキザミといった形状の食事というのは、どこの高齢者施設や病院でも大体あります。
しかし、キザミといってもどれぐらい刻んだものなのか?ペーストといってもどれぐらいのかたさなのか?というのは言葉だけでは表現しきれません。
そこで、日本摂食・嚥下リハビリテーション学会より統一基準を設け、統一した基準で様々な施設や関係者が活用できるよう、策定されました。
原文へのリンクも貼っておきますので、ぜひこちらもお読み下さい。
嚥下調整食分類2013
各種分類について
嚥下調整食分類2013は、コード0,1,2,3,4の5段階で示されています。
形状の名称、ゼリーやペースト、ピューレなどでは、個人や施設によって、想定する食形態が異なる事が考えられます。
例えばゼリーといっても、かたさが違うものがありますし、ペーストやピューレも同様です。
なので、名称はコードで表現されることになっています。
コード0j
コード0jは、嚥下訓練食品の位置づけです。
均質で、付着性が低く、凝集性が高く、硬さがやわらかく、離水が少ないゼリー.スライス状にすくうことが容易で、スプーンですくった時点で適切な食塊状となっているもの、と定義しています。
基本的には訓練時の使用を想定しており、誤嚥した際の感染等を考慮し、タンパク質含有量が少ないものが望ましいとされています。
コード0jのjは、jelly(ゼリー)からきています。
コード0t
コード0tも嚥下訓練食品の位置づけとなっています。
均質で、付着性が低く、粘度が適切で、凝集性が高いとろみの形態、スプーンですくった時点で適切な食塊状となっているもの、と定義しています。
ゼリーに比べると多少の付着性があり、ゼリー丸呑みで誤嚥してしまう場合や、ゼリーが口の中で溶けてしまう場合等に適しています。
とろみの濃さに関しては、後記しますが学会分類2013(とろみ)の分類で、中間のとろみ、もしくは濃いとろみが想定されています。
コード0tのtは、thickness(とろみ)からきています。
コード1j
コード1jは、均質でなめらかな離水が少ないゼリー・プリン・ムース状の食品と定義されています。
コード0jよりも広い物性のものが相当しますが、付着性や凝集性に配慮されていることが必要です。
また、コード0jと違い、タンパク質含有量の多少は問いません。
介護食として市販されているゼリーやムースも該当しますが、商品によってはかたさがあるものがあるので、そういったものはコード3に該当します。
また、離水が多いものは離水した水分で誤嚥が考えられるのでコード4に該当します。
コード2
一般にミキサー食、ピューレ食、ペースト食等と呼ばれる食事です。
コード0tよりも広い物性ですが、付着性や凝集性への配慮は必要です。タンパク質を含んでいても問題ありません。
コード2の中でも分類分けされており、なめらかで均一なものを2-1、やわらかい粒などを含む不均一なものを2-2としています。
調理法としては、食品をミキサーにかけなめらかにし、とろみ調整食品等で調整したものです。
飲むというような形状ではなく、スプーンですくって食べられるようなものを想定しています。
コード3
形はあっても、歯がなくても押しつぶせる程度のかたさで、食塊形成が容易、多量に離水がなく、咽頭通過時にばらけやすさがないようなものです。
一般にやわらか食、ソフト食等と言われている食品が該当します。
やわらかいように工夫したハンバーグや、大根のあんかけ、やわらかく仕上げた卵料理なども該当します。
主食としては、水分がサラサラの液体にならないよう配慮した三分粥、五分粥、全粥等が相当します。
コード4
かたすぎず、ばらけにくく、貼りつきにくいもので、箸やスプーンで切れるやわらかさをもつような食品が該当します。
主食の例でいえば、全粥や軟飯などです。
咀嚼機能のうち、歯は必須ではありませんが、歯茎で押しつぶす程度の能力は必要です。
また、流動性が高くコード2に含めないもの(とろみが弱いもの等)はコード4に該当します。
軟菜食など、素材に配慮した煮込み料理等もコード4に含まれます。
学会分類2013(とろみ)
学会分類では、水分のとろみについても三段階で基準を示しています。
薄いとろみ、中間とろみ、濃いとろみの三段階です。
どういった性状かは、上記の早見表の通りとなります。
とろみの状態についても、施設間の申し送りでどんな状態のとろみなのか判断しづらいため、学会分類の基準に合わせて申し送りをするのが良いでしょう。
今回の記事は、学会分類2013の内容を抜粋しただけなので、興味がある方は元の文を読んでみてください。
イラスト等がついて、患者指導等にも活用できるのが、ヘルシーフードの栄養指導naviのページだと思います。
こちらのページには、嚥下調整食分類2013以外も記載があるので、ぜひ参考にしてみて下さい。
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