こんにちは!今日の更新は、ブルーベリー(アントシアニン)が眼に良いのかという話です。
日本ではブルーベリーが眼に良いというのは有名な話だと思います。
しかし、実は眼に良いのかどうかはよくわかっていません。
結構有名な話なのに、よくわかっていないというのはどういうこと?と思われるかもしれません。
ブルーベリーと眼にまつわる理論や、研究等を紹介していきます。
眼に良いとされる理由
ブルーベリーが眼に良いとされている理由は、成分としてアントシアニンを多く含むことに由来します。
アントシアニンは、網膜上に存在するロドプシンという光感知たんぱく質の合成に関係しています。
ロドプシンは分解と再合成を繰り返しており、分解ばかりで再合成が行われないと、ロドプシンが枯渇し暗い所での光感知がしにくくなると考えられます。
アントシアニンを摂取すると、このロドプシンの再合成を促進するそうです。
だから眼に良い・・・、という風に言われています。
しかし、この理論で眼に良いと言ってしまうのは、飛躍しすぎています。
眼に良いとはどういうこと?
そもそも、眼に良いというのはどういうことなのでしょう?
眼の不調というのは神経、代謝、筋肉などさまざまな要因が重なって発生します。
例えば眼の不調の代表例、視力低下を考えてみます。
視力低下と一言にいってもいろいろな要因があります。
パソコンやスマホの見すぎによる仮性近視は、ピントを調整する筋肉の機能低下が原因です。
眼のレンズ(水晶体)が濁ってしまう白内障や、視神経の障害が原因の緑内障のような病気もあります。
パソコンやスマホのみすぎによる眼精疲労も、調整筋や視神経の異常など、複合的な要因によって発生します。
これら全て眼の不調と言えますが、光感知たんぱく質のロドプシンと関係ないところで発生している不調です。
アントシアニンを摂取してロドプシンの再合成が促進されても、上記のような不調は解消されないのでは?と思います。
唯一アントシアニンと関連ありそうな眼の不調は、暗い所で見えづらい(夜盲症)という症状です。
これはロドプシンの不足に由来している可能性があり、アントシアニンもちょっとぐらい関係しているかもしれません。
こういった理由から、ブルーベリー(アントシアニン)が目に良いと一言に言ってしまうのはかなりの暴論に思えます。
理論から考えると、ブルーベリー(アントシアニン)は夜目を効きやすくする…かもしれない。ぐらいの記載が正しい表現だと思います。
研究ではどうなっている?
さて、理論はいろいろありますが、一番大事なのは臨床研究の結果です。
実際にブルーベリーを摂ってどうなったのか?これで目に良さそうな差が出ているなら、理論はともかく何かしらの効果がありそうだ、という話になるわけです。
研究を見る際に大事なのは、個人の感想等ではなく、ランダム化比較試験など質の高い研究で差が出ているか確認する必要があります。
とくに目の不調というのは主観的な感覚(なんとなく疲れた、見えにくい気がする)なので、プラセボ効果が入り込みやすいです。
個人の感想で、ブルーベリーを食べて目の調子が良くなったと言っている人がいても、「それプラセボ効果でそう思っているだけでは?」という疑問が拭えません。
なので、ランダム化比較試験の中でもアントシアニンを摂取した本人も、対照で摂取しない人も、自分がアントシアニンを摂取したかどうかわからない状態が望ましいでしょう(盲検といいます)。
このような研究法で評価をするのが重要です。
研究を検索するのは、pubmedのような医学論文データベースで論文検索をすればOKです。
しかし英語の論文は専門でないとなかなか読めないと思うので、論文をベースにしたサイトを参考にするのも良いでしょう。
日本では、国立健康・栄養研究所という機関で質の高い論文をまとめてくれています。
アントシアニンについてのページもありますので紹介しましょう。こちらのページです。
ブルーベリーの中でも、ビルベリーという品種は特に目に良いと言われます。これについてのページもあり、こちらのページとなります。
国立健康・栄養研究所では、アントシアニンやビルベリーの有効性について、以下のように結論を出しています。
アントシアニン
俗に、「視力回復によい」「動脈硬化や老化を防ぐ」「炎症を抑える」などと言われているが、人においては信頼できる十分な情報が見当たらない。
ビルベリー
俗に、「眼精疲労や近視によい」などと言われている。人においては慢性静脈不全、網膜症に有効性が示唆されているが、夜間視力には効果がないことが示唆されている。
論文については、国立健康・栄養研究所のページを直接見ていただきたいのですが、アントシアニンに関しては夜目に関する研究がいくつかありますが、夜目の効きをよくするような効果は無かったようです。
アントシアニンの視力回復に関する質の高い研究は見当たらなかったようです。
ビルベリーに関しては、眼精疲労に関する小規模な研究論文がいくつか挙がっています。
それらの研究では、VDT(visual display terminals:パソコン画面等の画像表示端末)作業による眼精疲労について、疲労回復や視力の調整機能などを評価しています。
これらの研究では、ビルベリーエキスの摂取と眼精疲労の改善について、自己評価等でいくつか改善が見られた研究もあれば、改善が見られなかった研究もあります。
夜目に関しては一貫して効果が無かったようです。
結論
複数の研究で、効果があったりなかったり…、というのは一番評価が難しい状態です。
中立的に評価をすれば、「効果があるとする研究もあるけど、無い研究もあるから、現段階ではよくわからない。さらなる研究待ち」という状態です。
しかし、ブルーベリーを取り扱っている会社等は、この中から効果があった研究のみを抜き出して、「ブルーベリーで眼精疲労の改善効果が確認された!」と宣伝するわけです。
そういった宣伝が、『ブルーベリー=目に良い』という世間のイメージを生み出すのだと思います。
最後に、『ブルーベリー(アントシアニン)が眼に良いというのはホント?』というタイトルの疑問について結論を出します。
普通にブルーベリーを食べて、眼に良い効果があるかどうかは不明です。
ブルーベリーの中でもビルベリーという品種で、サプリメントという形状にした上で数週間継続して摂取すると、眼精疲労の改善効果があるかもしれないし、ないかもしれない、といった感じです。
ただ、果物はよほど偏った食べ方をしなければ体に良い食品群なので、効果があるかどうかわからないとしても、食べるのは良いことだと思います。ブルーベリーが好きなら試してみるのも良いでしょう。
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