食品成分表八訂について | ご飯の食物繊維が5倍に?

2021/07/19

食品成分関連

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こんにちは!今日の更新は、食品成分表の改定についてです。

日本で主に食べる食品は、調査された結果が文部科学省の食品成分表にて開示されています。

この食品成分表は時折改定されていますが、2020年12月の改定で大きな変更がありました。

この改定で、肉のカロリーが減ったり、酢のカロリーが増えたりしています。

ということで、どういうことなのか解説・紹介していきます。

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5年ぶりの大改訂

文部科学省より公表されている食品成分表ですが、2020年に八訂へ改定されました。

八訂は非常に大きな改定となり、栄養に携わる者にとっても非常に大きなインパクトがあります。

ざっくりどう変わっているかを説明しましょう。

炭水化物』『脂質』『たんぱく質』がより細かく、物質を正確にあらわしている言葉が追加されました。

炭水化物』は『糖アルコール』『食物繊維』『差し引き法による利用可能炭水化物』『利用可能炭水化物(質量計)』『利用可能炭水化物(単糖当量)』という項目が追加されました。

脂質』は『トリアシルグリセロール当量』という項目が追加されました。

たんぱく質』は『アミノ酸組成によるたんぱく質』という項目が追加されました。

これらの項目追加は栄養素をより正しく捉えるためのものです。

しかし、栄養の専門でなければ、ここまで細かい情報は必要ないとは思います。

それぞれがどういうものなのか、どう活用するべきなのかは、以下のリンクが参考になると思います。興味がある方はご確認下さい。

日本食品標準成分表に関するQ&A
女子栄養大学出版部 佐々木敏氏インタビュー「八訂の食品成分表、ぼくはこう見て使っています」【1】炭水化物編
女子栄養大学出版部 佐々木敏氏インタビュー「八訂の食品成分表、ぼくはこう見て使っています」【2】組成成分表の時代が来た! 編
日本食品標準成分表2020年版(八訂) 電子書籍(第2章を除く)

測定や計算法の変化により、栄養価も変わった

従来の栄養素の測定方法は、誤差の出る方法を用いている事がありました

例えば、たんぱく質。たんぱく質は今まで、食品中に含まれる窒素の量を測り、たんぱく質以外の窒素量(硝酸イオン等)を差し引き基準窒素量を求め、そこに「窒素-たんぱく質換算係数」という係数を乗じて算出していました。

八訂では、アミノ酸組成からたんぱく質を算出しており、エネルギー計算もアミノ酸組成から算出されたたんぱく質を用いています。

炭水化物は、今までは水分やたんぱく質、脂質、灰分等の分析値を全体から差し引いて算出していました。

この方法により、各成分の分析誤差が炭水化物の量に影響を及ぼしていました。

八訂では、利用可能な炭水化物を算出し、エネルギー計算に用いられています。

こういった変更により、八訂では成分やエネルギーが変わった食品がたくさんあります

こちらに記載がありますが、いくつか例を挙げると、
ご飯の食物繊維 0.3g→1.5g
豚ばら肉のエネルギー 395kcal→366kcal
穀物酢のエネルギー  25kcal→37kcal

個人的には結構大きい変化だなと思うのですが、どうでしょう。

ご飯なんて、精白米は食物繊維が少ないと指導していたのが、まさかの5倍に。

これも、食物繊維の測定法の変化によるものです。

昔もひじきの鉄分が成分表の改定で大きく下がり、「ひじきは鉄分豊富!」等と言っていたのは何だったんだろう…と切ない気持ちになりましたが、今回もそんな気持ちです。

食品成分って難しいですね。

とはいえ、栄養学や栄養指導の大筋としては変更ありません。

例えばご飯の食物繊維量が増えたからといって、食物繊維は充分になりました、というわけではありません。

大体の人にとって不足しているという評価には変わりないため、食物繊維は積極的に摂りましょう、という感じです。

豚バラ肉もエネルギーが下がっていますが、だからといってダイエットに向いている!というわけではありませんね。

脂身の多い肉は、食べすぎないようにしたほうが良いのは昔と変わらずです。

研究については捉え方が変わりそうなものも

研究では、食事からの栄養素摂取量について、食品成分表を用いて計算していたものもあると思います。

そういった研究については、そもそもの栄養素にズレがあった可能性があります。

例えば日本人の食事摂取基準には、食物繊維の目標量が算出されています。

この目標量の算出は、日本人の食物繊維摂取量の中央値が参考となっています。

しかし、日本人の食物繊維摂取量は、ご飯の食物繊維量を100gあたり0.3gで計算するのか、1.5gで計算するのかで大きく変わります。

一食150gで3回食べたとすると、ご飯からの食物繊維摂取量が1.35g→6.75gの変化となります。

これは、日本人の食物繊維摂取量の中央値にも影響を及ぼすのではないでしょうか。

今後の研究は、成分表八訂の成分値を参考にしている研究なのか、それ以前の研究なのかで、意味合いが変わってくるような栄養素もあるかもしれません。

研究の捉え方も難しくなりそうです。


栄養学というのは、本当に難しい学問だなあと、よく思います。

医学もそうですが、栄養学についても日々知識の更新をしなければいけないなと感じました。





記事をお読み頂き、ありがとうございました。

最後にちょっとした広告を。

自分で使ってみて、良かった調理器具を紹介いたします。ご家庭に合うものがあれば、ぜひお試しください。

貝印 関孫六 15000ST 高級包丁

最近新調した包丁です。久しぶりに買い替えるので良い包丁にしようと思って見つけたのがこちら。

包丁の刃にコバルトスペシャルという最高級の素材を使用しており、切れ味が落ちにくく、研ぎやすく、鋼に比べ錆びにくいという高級包丁です。

レビューも書いているので、興味がありましたらご確認下さい。

シリコン調理スプーン

山崎実業のシリコン調理スプーンは、すくう・炒める・計るの3機能がまとまった調理スプーンです。

特徴的なのは5ccと15ccの計量線が入っており、醤油や酒など計りながら調理作業が行なえます。調理作業に無駄がなくなり、一度使うと普通のヘラには戻れない快適さです。

置くためのスタンドもついており、キッチンを汚さず仮置きでき非常に便利です。

ぜひ家のヘラや調理スプーンと交換してみてください。

ゆで卵電気スチーマー

時間管理が面倒なゆで卵や半熟卵が安定して簡単に作れるようになります。ゆで卵や半熟卵をよく作る方に特にオススメしたいです。

コンロを使わないのがすごく良いです。卵以外にも蒸し野菜や肉まん等に使えます。

シリコンスチーマー

野菜や肉、魚を入れて電子レンジでチンすると、簡単に蒸し物になります。

シリコンなので洗いやすく、折りたたんで収納できるため場所も取りません。

ぶんぶんチョッパー(手動フードプロセッサー)

糸を引く事で食材をみじん切りにすることができる手動フードプロセッサーです。

電動に比べ、コンセントを必要としない点と、価格が安い点が優れています。

コンセントを必要としないので、キッチンのコンセントまわりがいっぱいでも自由に設置できます。

みじん切りの頻度が少ないけどたまにフードプロセッサーを使いたい、という場合にオススメです。

取ってが取れるフライパン

今まで我が家では普通のフライパンでしたが、取ってがとれるタイプのフライパンに変えてみたら便利さにビックリ。

重ねて入れられるため収納スペースをとりません。また、冷蔵庫に調理したものをそのまま入れて保存するのに場所をとらないので、とても良いです。

自己紹介


とっぽ
高校で調理師科を卒業し、調理師免許を取得。管理栄養士学科を卒業し、管理栄養士免許・栄養教諭一種免許を取得しました。現在は都内某所の施設に勤務しています!どうぞよろしくお願い致します。

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