「減塩は体に良いよ!」という話はよく聞くはず。
WHOや国などの公的機関でも減塩を推奨しています。
なぜ減塩を推奨するかというと、そのほうが健康上良いとさまざまな研究で確認されているからです。
とはいえ、料理に欠かせない調味料であるため、減塩というのは言うほど簡単ではありません。
そこで、管理栄養士の自分が実践している減塩のコツについてまとめてみました。
管理栄養士が実践する減塩のコツ
google等の検索エンジンで、「減塩」のワードを検索するとだいたい以下のようなことが書いてありました。
・加工食品を控える
・酸味や香辛料を使う
・だしをきかせる
・外食を控える
・麺類の汁を残す
・漬物、佃煮を控える
どれも栄養指導でよく言われるような内容であり、実践可能であれば実践して良い内容です。
上記と重複するような内容もありますが、自分が実践していて、特に重要だと思っている減塩のコツを挙げていきます。
朝食に塩分をなるべく使わない
まず一つ目のコツは、朝食に塩分を使わないことです。
朝食に塩分を使わないというのは、例えば以下のようなメニュー。
【例1】トースト・無塩バター・ジャム・サラダ・フルーツ・ヨーグルト
【例2】シリアル・牛乳・サラダ・フルーツ
【例3】ホットケーキ・無塩バター・メープルシロップ・フルーツ・ヨーグルト
塩味ではなく甘味で成り立たせている献立で、食事というよりはおやつっぽさがありますね。
上記を昼食や夕食として食べるのは嫌な感じがありますが、朝食なら十分選択肢になりえると思います。
朝食は昼食は夕食と違って、塩味が全く無くても成り立つような献立があるのです。
厳密には、パンやホットケーキには多少の塩が入っているし、サラダにドレッシングをかければドレッシングには塩があります。
とはいえ、パンやホットケーキの塩分は主菜や汁ほどの多さではないし、ドレッシングも減塩ドレッシングを使えばかなり塩分を抑えられます。
上記のメニュー例では、一食あたりの塩分は1g前後で済ますことができるでしょう。
汁物はつけない・飲まない
二つ目のコツは、汁物をつけない、もしくは飲まないということです。
日本の誇る和食は、汁物のバリエーションが多く、汁を飲む習慣がある人のほうが多いでしょう。
和食の基本形も「一汁三菜」という形になっています。一汁三菜とは、ご飯・主菜・副菜・副菜・汁物で構成された献立です。
野菜も摂りやすくバランスの整った献立ですが、塩分過多に陥るという欠点があります。
和食では特に、主菜にも副菜にも汁物にもたっぷり塩分を使います。
醤油や味噌といった馴染み深い調味料たちは、どれも塩分の含有量がとても多いのです。
なので、汁物はいっそのこと無くしてしまうか、その一皿はデザート等にすると良いでしょう。
とはいえ、汁物を飲む習慣のある人はいきなり無くすのもQOLの低下が大きいです。
そんな場合は、汁物を具だくさんの汁少なめにし、副菜として取り扱うのが良いですね。
また、インスタントの味噌汁を飲んでいる方は、栄養的な意義がほとんどなく塩分のデメリットばかり目立つため、控えるか野菜を入れ込む事をオススメします。
麺の汁は飲まない
三つ目のコツは、麺の汁を飲まないことです。
麺の汁は非常に塩分が多いため、可能な限り控えるべきです。
とはいえ、飲食店の麺の汁というのはこだわりの逸品で、飲み干したくなるほど美味しい汁もあるでしょう。
そういう場合は、自分の麺を食べる頻度を考慮に入れると良いと思います。
例えば一杯10gの塩分を含むラーメンを食べるとして...
これを30日に1回の頻度で食べるなら、1日あたりの塩分は0.3g相当とも考えられ、影響は大きくありません。
しかし、3日に1回の頻度で食べる場合は、一日あたりの塩分は3.3g相当と考えられ、こうなると影響が大きいです。
食べる頻度が多い人は特に、汁を飲まないように注意したほうが良いでしょう。
主菜と副菜でメリハリをつける
他には、主菜と副菜でメリハリをつけるのも良いでしょう。
可能なら料理全ての塩分を控えるのがベストですが、塩味を控えすぎると味気ない料理になってしまいます。
そこで、主菜か副菜、どちらかは減塩等特に気にせず美味しく感じるように作り、もう片方を薄味に作るようにしましょう。
そうすることで、食事の味について満足感を保ちつつ、塩分を減らすことが可能です。
ちなみに筆者は主菜の味は濃い目につけており、かわりに付け合わせや副菜はかなり薄味に調味しています。
そもそも食べる量を減らす
減塩のコツとして、そもそも食べる量を減らすというのもかなり有効です。
有効ですが、これについて言及している人は少ないように思います。当たり前ですが、食べる量が多ければ多いほど、摂取する塩分も多くなります。
例えば牛丼屋に行って牛丼を食べるとき、並盛と大盛りでは当然大盛りのほうが塩分が多いのです。参考までに、吉野家の栄養表示によると並盛の塩分は2.7g、大盛りの塩分は3.4gとなっています。
食べる量を減らすことで減塩になり、さらにはダイエットにも有効です。
現代社会では生活習慣病が健康問題として大きく、生活習慣病の多くは食べすぎによる肥満が大きな悪影響を及ぼしています。
現在痩せすぎの人は食べる量を減らす必要は無いですが、体重が年々増えているような方は、食べる量自体を減らすと減塩に加えダイエット効果を得られるでしょう。
塩は必要な栄養素?
ここまで減塩について書きましたが、塩だって必要な栄養素なんじゃないか?という疑問もあるかもしれません。
しかし実は、塩分の必要量は意外なほど少ないんです。
厚生労働省の取りまとめている「日本人の食事摂取基準」という文書に、日本人が必要な栄養素量が示されていますが、塩分の最低限必要な量は驚きの1.5gです。
1.5gがどれぐらいか?というのはイメージがつきにくいかもしれないですが、例えば味噌汁一杯でおよそ1.2g。
だいたい味噌汁を一杯飲むぐらいで、塩分は足りてしまいます。
多少は必要…、などというわけではなく、基本的には可能な限り減らして良いものです。
例外として、塩分は汗に排出されるので、汗を多量にかくような運動、仕事中は塩分の補給が必要になることがあります。
また、筆者は高齢者栄養が専門ですが、高齢者に対しては減塩しすぎないほうが良いと感じることもあります。
味というのは歳を重ねると感じにくくなりますが、塩味は特に味覚低下が顕著です。
なので高齢者に対し塩分制限を意識しすぎると、食事を美味しく感じられず食欲不振に陥ることがあります。
高齢者の食欲不振から来る体力低下・筋力低下は、塩分摂取のデメリットを上回る可能性があるので注意が必要です。
高齢者には一概に減塩が良いとも言い切れないですが、若い年代の方たちは基本的には減塩したほうが健康上良いと考えられます。
上記に挙げたようなコツを、ぜひ実践してみてください。
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