こんにちは!当記事は、男性の管理栄養士ってどう?というテーマです。現役の男性管理栄養士が実体験も交えながら解説しています。
管理栄養士・栄養士というと、男性というより女性のイメージがありますね。
実際働いていると同職種は女性が多いですし、管理栄養士学科の専門学校に通っていたときも、男性女性の比率は1:4ぐらいでした。
女性のほうが、料理や栄養に関する興味・関心が高いからでしょうか。
料理は男性より女性のほうが得意なイメージがありますが、ジェンダーレスも進み料理に取り組む男性もだいぶ増えたように思います。
管理栄養士に興味を持たれた男性もいると思いますが、男の管理栄養士って収入ってどうなの?という疑問があるかもしれません。
ということで、実際に東京で管理栄養士として働いている自分の給与明細をオープンしながら、解説していきたいと思います。
男性の管理栄養士収入
まずはじめに、男性管理栄養士の賃金について公的資料があるか調べてみました。しかし、男性の管理栄養士のみを対象とした資料は見つかりませんでした。
国の賃金調査では、厚生労働省の賃金構造基本統計調査というものがあります。こちらでは管理栄養士以外に栄養士、栄養指導員、学校栄養職員、ダイエットコーディネイターをひとまとめに栄養士としていますが、男性の賃金が調査されています。
結果はこのようになっています。
医療系資格で比較をしてみましたが、ご覧の通り栄養士は一番低いことがわかります。管理栄養士以外の職種もあるので、管理栄養士に絞ればもう少し上がるかもしれませんが、大きくははずれていないと思います。
求人ボックスの求人統計データでは、求人情報から算出した年収を記載していますが、平均年収は309万円とのこと。こちらは、男女合わせての数値です。
病院等の求人情報を見てみると、月収20万~30万程度の幅です。20万ちょっとぐらいの月収が一番多く、30万の募集となるとほとんど見かけない感じです。
どのデータを見ても管理栄養士の給与が高いことを示すデータはありません。悲しいです。
なぜ管理栄養士が医療資格の中でも安いのかというと、管理栄養士の雇用の需要と供給バランスに問題があり、供給過多になっているためと考えられます。
管理栄養士の仕事というのは、大きく分けて事務業務(栄養指導、保健指導、栄養マネジメント、発注・献立等)と厨房業務に分かれます。
このうち、厨房業務は体力を使う仕事で疲れる上、早番から遅番まであり勤務時間がきつく、万年人手不足のため残業が多い現場が多数です。
人手不足なので雇用の需要は高いのですが、管理栄養士を取った以上は栄養指導など事務業務を行いたいはず。
結果として、事務業務メインの仕事に人手が集中します。しかし、事務業務というのはそこまで人数が必要なわけではなく、規模にもよりますが病院や老健などでも数人いれば十分でしょう。
管理栄養士は毎年1万人程度が国家試験に合格し増えていきますが、人気の事務仕事は退職者が出るまで募集が出づらく、募集をかければ即複数人から応募が来るような状況です。
自分も老健勤めのときに、事務業務の管理栄養士の募集と、厨房業務まで含んだ管理栄養士の募集を出したことがありますが、厨房業務は一切来ないのに事務業務のほうは複数人すぐに応募があるという感じでした。
このように、需要と供給バランスが崩れていると会社としても賃金を上げる必要がなく、賃金が上がらないのだと思います。
現役管理栄養士の収入
筆者は東京在住の管理栄養士で、いくつか転職しながら仕事をしてきました。
男性の管理栄養士の実例ということで、記しておきます。数値はまるめています。
社会人1年目 某委託給食会社(都内勤務)
基本給 150,000円
各種手当 62,000円
合計 212,000円
社会人2年目 都内某病院管理栄養士
基本給 192,000円
各種手当 37,000円
合計 229,000円
社会人3年目 都内某介護老人保健施設
基本給 200,000円
各種手当て 45,000円
合計 245,000円
ちょうど1年ごとに転職していた期間があり、それぞれ上記のような条件でした。
なお、2年目からは一人暮らしを始めていたので、住宅補助が各種手当の中に入っています。
3年目の老健は6年間勤めていたので、役職等もつき最終的には27万程度の月収でした。ちょうど平均ぐらいの数値ですね。
実際には、上記の金額に残業代だったり早番手当だったりが入り、もう少し高い月収となります。
余談ですが、2年目の病院では一日3時間程度の残業がありましたが、残業代未払いでした。ブラック具合は勤め先に大きく左右されそうです。
収入を伸ばす余地は?
男性の管理栄養士は、厨房業務さえ良ければ何かしらの職には就けるという安定感はありますが、収入面は良いとはいえなさそうです。
とはいえ、収入を伸ばすことができるなら、問題ないとも考えられます。
収入を伸ばすためには、以下のような方法が考えられます。
昇給を待つ
昇進する
副業等で稼ぐ
昇給については、病院の賃金アンケートを確認すると、1年で3000円ぐらいが平均みたいです。他の職種については、データが見当たりませんでした。
自分が勤めていた職場では、老健で1年で1000円というところもありました。経営状態や経営規模によって変わります。昇給が無いという同業の愚痴も聞くことがあるので、昇給が無い職場もありそうです。
病院や老健、学校などの法人は良くても昇給3000円程度で、日本の大企業のように6000円や7000円上がるような所は少ないと考えられます。
というのも、国からお金を貰う福祉法人は基本的に非営利企業なので、大きく収益を伸ばすような運営をしないからです。
また、国からお金をもらっておいて、日本の平均以上に収入があると、税金で運営しているのに給料を貰いすぎなんじゃないかと国民からも叩かれます。
そういう意味でも、福祉法人系の会社は大きな昇給は望めません。大きい昇給額を望むなら民間企業のほうが夢があると思います。
昇進については、業種にもよりますが男性だと昇進しやすいと思います。
自分が見てきた管理栄養士たちも、男性である程度の年齢の方は栄養科のトップに就いている方が多かったです。
男女平等の時代とはいえ、まだまだ男性が役職につきやすい実態はあると考えられます。
ただし、管理栄養士は昇進しても基本的には栄養部門のトップで終わりです(課長、室長)。そのポジションでどれぐらいの役職手当てがつくかは会社によりますが、それより上のポジションを望むのは難しいかもしれません。
副業については、管理栄養士は資格を生かして副業を行うことができます。
例えば自分の経験では、フリーランスのサイトに登録し、栄養やレシピ関連の執筆の仕事を行いました。
フリーランスの報酬は、受ける仕事を選べば時給1500円ぐらいは確保できそうでした。ただ、時給換算で500円を下回るような仕事もたくさん出ていますので、本当にピンキリです。
また、非常勤の栄養指導などの仕事もあるので、副業は結構見つけやすいのかなと思います。
管理栄養士は男性は不利?
管理栄養士は男性より女性のほうが多いのですが、男性であることが不利になる場面はあるでしょうか。
これは職種によって変わります。男性が不利な業界もあります。
例えば、美容クリニック等の栄養指導。女性をターゲットにしている業種では、女性の身体データを把握する必要がありますが男性相手では嫌という方がいらっしゃいます。
他にも、産婦人科の専門病院では、利用者に若い年代の女性が多く、医師ですら女性が好まれる場合があります。
そのような業種では、応募しても採用されづらい、もしくは採用されたあとに仕事しづらい可能性があります。
特定保健指導の仕事なんかも、自分が経験した中では性別を合わせて組み合わせるよう配慮されていました。
総合病院の栄養指導については、身体データや生活習慣などプライベートの情報を聞きますが、医者に男性が多いからか男性管理栄養士でも比較的許されるイメージがあります。
自分が知ってる病院でも男性はそこそこいたし、勉強会などでも病院勤務の男性管理栄養士は結構な頻度で見かけます。
逆に男性だと優遇される面もあり、管理職として上がりやすいのは、男性だと思われます。
男女平等の時代にあるまじき事態ですが、育児や家事の負担が未だに女性のほうが多く、家庭の忙しさ等の事情があり男性が上がりやすいのだと思います。
また、体力勝負の厨房業務は、体力のある男性の方が優遇されがちです。委託給食会社では、男性の管理栄養士だと昇進しやすいでしょう。
仕事のやりがいは?
食というのは健康に密接に関係するので、食を通じて人の健康を良くできると、やっていて良かったなと感じます。
例えば具体的な体験で言うと、体重や採血に問題があった方が、栄養指導によりみるみる改善していったことや、高齢者でよくわからない下痢に悩まされていた方が、一つずつ原因を検討していき改善できたことが挙げられます。
また、栄養指導以外にも、子供たちの食育系の仕事もとても楽しくやりがいがありました。食育系の仕事は募集が少ないのが難点ですが・・・。
厨房業務は自分の実体験で言えばあまりやりがいは無いと感じました。
委託給食会社勤めの管理栄養士時代は、実際に喫食している方へお会いするのは配膳時のわずかな時間ぐらいで、お話することは基本的にはありませんでした。
過酷な勤務の中もくもくと調理作業をするだけで、モチベーションはなかなか上がりません。強いて言うなら、同じ仕事でもよりスピーディーに、質高く行えるようにするという、自己研磨の楽しみがあったぐらいです。
楽しそうに厨房業務を行っている方もたくさんいるので、やりがいを感じるかは人それぞれだとは思いますが。
男性に管理栄養士はオススメできる?
男性の管理栄養士は、厨房業務が苦じゃなければアリなんじゃないかなと思います。
給与的には大きく伸びる余地が少ないですが、厨房業務まで含めれば完全に仕事がない状態になる事はまずないと思います。そういった意味では、雇用が安定していると言えます。
しかし、こちらの記事でも書きましたが、将来的には事務作業はAI化により需要減になる可能性があります。厨房は嫌で事務作業メインで働きたいという場合には、少ないイスの取り合いで勝ち残らないといけません。
まあそんなことを言い始めると、他の職種でも変わらないので、深く考えないほうが良いのかもしれませんが。
仕事のやりがいは大きいので、栄養学が好きなら、ぜひ目指してみて下さい。
記事をお読み頂き、ありがとうございました。
最後にちょっとした広告を。
自分で使ってみて、良かった調理器具を紹介いたします。ご家庭に合うものがあれば、ぜひお試しください。
貝印 関孫六 15000ST 高級包丁
最近新調した包丁です。久しぶりに買い替えるので良い包丁にしようと思って見つけたのがこちら。
包丁の刃にコバルトスペシャルという最高級の素材を使用しており、切れ味が落ちにくく、研ぎやすく、鋼に比べ錆びにくいという高級包丁です。
レビューも書いているので、興味がありましたらご確認下さい。
シリコン調理スプーン
山崎実業のシリコン調理スプーンは、すくう・炒める・計るの3機能がまとまった調理スプーンです。
特徴的なのは5ccと15ccの計量線が入っており、醤油や酒など計りながら調理作業が行なえます。調理作業に無駄がなくなり、一度使うと普通のヘラには戻れない快適さです。
置くためのスタンドもついており、キッチンを汚さず仮置きでき非常に便利です。
ぜひ家のヘラや調理スプーンと交換してみてください。
ゆで卵電気スチーマー
時間管理が面倒なゆで卵や半熟卵が安定して簡単に作れるようになります。ゆで卵や半熟卵をよく作る方に特にオススメしたいです。
コンロを使わないのがすごく良いです。卵以外にも蒸し野菜や肉まん等に使えます。
シリコンスチーマー
野菜や肉、魚を入れて電子レンジでチンすると、簡単に蒸し物になります。
シリコンなので洗いやすく、折りたたんで収納できるため場所も取りません。
ぶんぶんチョッパー(手動フードプロセッサー)
糸を引く事で食材をみじん切りにすることができる手動フードプロセッサーです。
電動に比べ、コンセントを必要としない点と、価格が安い点が優れています。
コンセントを必要としないので、キッチンのコンセントまわりがいっぱいでも自由に設置できます。
みじん切りの頻度が少ないけどたまにフードプロセッサーを使いたい、という場合にオススメです。
取ってが取れるフライパン
今まで我が家では普通のフライパンでしたが、取ってがとれるタイプのフライパンに変えてみたら便利さにビックリ。
重ねて入れられるため収納スペースをとりません。また、冷蔵庫に調理したものをそのまま入れて保存するのに場所をとらないので、とても良いです。
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